東京物語の作品情報・感想・評価

「東京物語」に投稿された感想・評価

Ueda

Uedaの感想・評価

3.8
ダンサーインザダークとかより全然キツい、完全にダウナーになった上で映画同様寛容であろう両親の事を思い出し涙が出る。人間関係というのが実の所こういうもの過ぎて、それは友人関係であれ同様だが、その中で親の子供に対する気持ちがどういうものなのか、まだ実感を伴わない。
銀幕短評(#53)
「東京物語」

1953年、日本。 2時間16分。
総合評価 74点。

わたしの親の世代の長編映画。小津安次郎監督の最高傑作とされる、海外の監督に彼のファンが多いらしい。他作(といってもあと2つしか観ていないが)と同様 笠智衆の演技が光る。

小津作品は どの映画も演者がほとんどかぶっており(小津組、と呼ばれる)、その点 吉本新喜劇の様式に近い。各作品の扱うテーマ(= 家族同士の思いやり、心情、とくに結婚問題)の設定も非常に似通う。よほどその思い入れが強いのだろうし、時代のニーズにマッチしていたのだろう。

決してパンやズームしないスチルカメラ、それによるアングルの切替えなど 特徴的なカメラワーク。

セリフ回しで 同じことばを畳み掛ける 独特の柔らかさ。
中折れ帽や折り目正しいファッションなど、当時の洒脱な風俗。
親に対しても使う 目上に対する細やかな敬語づかいや気配り。
これらは現代日本からみると はなはだ興味深く、親しみ、憧れを覚える。
ずっと固定されたカメラワークで目線は人間の膝辺りなのでこの人たちの生活を覗き見している気分になるが、それだけでなく、会話シーンは真正面から撮る技法でちゃんと感情移入できるようになっている。。淡々と“日常”を撮るのがうますぎる。。。
i

iの感想・評価

5.0
本当によかった、こんなに画のミニマルさが生かされた映画があるのかと驚いた
終盤、特に後編になるにつれて一気に濃度が濃くなって行く感じが良い、また提示部と再現部で綺麗にまとまっているのも本当に美しく、国内外の監督に影響を強く与えたのも頷ける
モノクロームだからこその陰影の強調、襖や蚊取り線香などの小物の使い方、登場人物たちのそれぞれの関係性とセリフの間、空間などの全てが繊細かつ洗練されていて圧倒された
今まで見た映画の中でダントツで好き
momoem

momoemの感想・評価

4.0
小津安二郎監督が家族のあり方を丁寧にリアルに描いた、1953年公開の日本を代表するモノクロ映画。

寿命が伸びた現在だと感覚が異なるけれど
70歳近い年老いた両親が、故郷の尾道から東京で家庭を持つ子どもたちを訪ねるところから話しは始まります。

二人は、
東京で家庭を持つ長男、長女、妻を残して戦争で亡くなった次男、大阪で勤める三男、ともに尾道で暮らす三女の五人の子どもを持つ。

家庭のある長男、長女、
そして次男の嫁のいる東京。

実の子たちは、本人はそんな邪険にしているわけではないけれど、
久しぶりに会った、遠くから遥々汽車で訪れた両親をどこか煙たく雑に扱う。
仕事が忙しく二人をどこも連れていけないと、本人たちはよかれと思い両親を熱海の温泉に宿泊させる。
両親は子どもたち、孫たちと時間を過ごすために東京へきたのに。

原節子さん演じる亡き次男の嫁ともこは、長女からの連絡を快く受け、両親に東京を案内し、自宅にまで招き、ささやかではあるが温かくもてなす。


しばらく東京で過ごし両親が尾道へ戻ると、
母の危篤という電報が東京の子どもたちに届く。


母の死に直面したときの、
それぞれの登場人物の様子のリアルさに、心が切なくキューっとなった。

ひとつひとつのシーンの繋がりをこんなに丁寧に感じたのははじめて。

わたしが本作の凄さを芯から理解するためにはあと20年くらいかかりそうだけど、
観る年代により受け取り方が変わる作品だと思うので今観られてよかったな、と思います。

誰のことも責めず、
ただただ自分自身は思いやりを持って接する原節子さん演じるともこがとても素敵だった。

山田洋次監督が本作をリメイクした『東京家族』を観たけれど、
すっかりこのリメイクだということは忘れていて、
なんだか似ているなーと途中まで悶々としていました。

本作を観てからの方がより真髄を掴めそうなのでまた機会があったら観たい。



📝memo
はじめての小野安二郎。
父役の方は当時49歳とかなり若くダンディな方らしい。素晴らしい役作りに驚愕。
はじめなかなか集中できなかった自分にがっかり。長男の嫁とともこさんの見分けがつかない程度の観かたをしてしまった。
やはりカメラワークが独特でしたねー
映画監督の好きな映画世界1位ってことでしたが、
派手なことは一切起こらないので好みは分かれると思います。。

家族の温かさより
リアルな冷たさを描いてるのは珍しく、それに共感出来てしまうのも何か嫌ですね

色んな作品見て経験値積んでからまた見たい!
bono1978

bono1978の感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

【印象的な場面】終始にこやかだった紀子が、ラストの鉄道の車内で一人になると無表情なところ
holly

hollyの感想・評価

4.0
特別な事は何も起こらないのに見進めるにつれ追い討ちをかけるように胸に刺さってくる作品。
リアルなディティールの描き込みによって誰しもが当たり前に考える事、直面する事、その普遍的なテーマの重みが格段に増している。
Hitomii

Hitomiiの感想・評価

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自分自身を投影できる人物の描写があり、その彼女に対して静かな怒りのようなものが湧き上がり、それが自分自身に向けられたものなのだと感じずにはいられなかった。生と死の境目は明確でなくて、冷酷さや温かさにも境目がなく曖昧で、言葉の表現だけでは読み取れないものがある。
紀子演じる原節子さんがとても清らかな佇まいで美しいが、弱さを抱えながら生きている姿には人間味を感じ、彼女の幸せを願わずにはいられなかった。
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