サスペンスホラー風の芸術カルト。これまた怪作だった。
ゲシュタポに妻子を殺された主人公の行き場のない愛が現在と過去をさ迷う。
ドイツ占領下のポーランドで、チフスのワクチンを完成させるため、シラミに血を吸わせる研究所に身を置くことになる。どうやらズラウスキー監督の父親がこのような研究所で働いていたらしく、実話を基にしている模様。研究に携わっていれば身の安全を守れたらしい。シラミのアップがあるので視聴注意。
カトリック信仰の強いポーランドの背景を理解していないと、聖書の暗示や難解なシンボルはわからない。これはズラウスキーの黙示録。前衛的で不気味な音楽にゾクゾクする。オープニングもラストも強烈な印象を残し、奇妙な終末論へと誘われる。