フラワーメイノラカ

Ricky リッキーのフラワーメイノラカのレビュー・感想・評価

Ricky リッキー(2009年製作の映画)
3.8
生まれた赤ん坊が本当の天使だったら?

肩甲骨の名残を残す、痛々しい翼が象徴する家庭の不和と再生。
ハートフルなホームドラマでもファンタジーでもない。
フランソワ・オゾンの悪徳が無邪気に現実を抉る。

短編の名手と謳われただけあって、ワンアイディア、ワンシチュエーションを深く掘り下げてくる。

最近、映画を観る際に、大学で教え込まれた「視点」についてよく考える。
本作は一見、リッキーの母親カティの視点に近いように思われるが、私には連れ子のリザの視点だと感じた。

両親への不信が彼女の想像力を刺激し、弟を天使へと歪めたのだとしたら?
これはもしかすると、幼子の純粋な悪徳を微細に追ったマジック・リアリズム映画なのかもしれない。