ゆっきー

長い見送りのゆっきーのレビュー・感想・評価

長い見送り(1971年製作の映画)
4.0
傑作。神経症的なシングルマザーと、それを残酷にも突き放そうとする思春期の息子の話。 白黒のコントラストが強烈な画面が良い。母親が、口数・肉感からアンナ・マニャーニを髣髴とさせた。

犬の背を少女と少年の二人が撫でる、手のクローズアップがベストショット。それ以外にも、物越しに人物を撮るカットが凝っていたり、小津とはまた違った静物のカットを入れるタイミングが巧妙だったり、見ていて楽しかった。

まさに自分の下を去ろうとしている息子と別れた旦那の二人が肩を組んだポートレートのスライドを暗い部屋の中で壁に映し出し、タバコをすいながら、二人の像の前になすすべない感じで立ち尽くすシーンがすばらしいな。タバコの煙も見事。
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