ヒチ

チチカット・フォーリーズのヒチのレビュー・感想・評価

チチカット・フォーリーズ(1967年製作の映画)
3.5
すげぇ...。むせ返るような現実、平然と行われる暴力。ジョジョ7部のいともたやすく行われるえげつない行為ってこれやん。カメラの痕跡を極力消して淡々と目の前の現実を映し出すスタイルは想像してた通りだったけど、オープニングとエンドロールとかホースの場面とか編集で遊んでる部分もちょいちょいあって意外だった。患者だけではなく施設側の人たちの表情を積極的に映してるのも興味深い。よくこんなん撮影出来たなと思ったら、施設の所長が環境の改善を望んでたので撮影許可がすんなり下りたという話にびっくり。正直、ホースのあたりからつらくなって冷静には観られなかった。67年の映画でも未だに人に訴えかける力があると思う。

想田監督の解説がめっちゃ勉強になった。ワイズマンの映画は、ナレーション無し、インタビュー無し、音楽無し、テロップ無しに加えて、主人公無し、台本やリサーチ無し、撮影は2ヶ月以内で編集は10ヶ月~1年。時間を軸にではなくて、空間を軸にして進んでいく等々。ドキュメンタリーの撮影は対象が生きてる限り延々と続けられるので、どこで区切るかも重要という話も面白かった。
「カメラの前で人は自分が適切だと思う行動をする」というワイズマンの言葉が未だに頭の中に鳴り響いてる。
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