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チチカット・フォーリーズのROYのレビュー・感想・評価

チチカット・フォーリーズ(1967年製作の映画)
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I need peace and quiet.

精神異常犯罪者矯正施設の日常を克明に描き、収容者が、看守やソーシャル・ワーカー、心理学者たちにどのように扱われているかを浮き彫りにする。“現代社会の観察者”ワイズマンのデビュー作にしてドキュメンタリーの金字塔。

アメリカン・シネマ・ヴェリテ

■INTRODUCTION
マサチューセッツ州ブリッジウォーターにある精神異常犯罪者のための州立刑務所マサチューセッツ矯正院の日常を克明に描いた作品。収容者が、看守やソーシャル・ワーカー、心理学者たちにどのように取り扱われているかがさまざまな側面から記録されている。合衆国裁判所で一般上映が禁止された唯一の作品である。永年にわたる裁判の末、91年にようやく上映が許可された。(アテネ・フランセ文化センター)

■NOTES
撮影はジョン・マーシャル。

この作品は、マサチューセッツ州ブリッジウォーターにあるマサチューセッツ州矯正施設、「ブリッジウォーター州立病院」の患者/受刑者を“観察”する作品。映画のタイトルは、病院のスタッフが開催するショーの名前から取ったもの。チチカットは、病院の近くを流れるトーントン川のマサチューセット語(ワンパノアグ)での発音である。

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folly:
1.[U]愚かなこと、愚劣;[C]愚行、愚かな考え、愚言。
2. 金ばかりかかるばかげた事業[企て、建造物];(遊園地などの)模造建築物。
3. ((-liesで単数扱い))(グラマーな女性出演者の出る)時事風刺劇。
[古フランス語fol(愚かな)の名詞形。△FOOL1]

follies:こっけいな寸劇を主にした、風刺劇またはレビュー(revue)。

↑コトバンクより

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蝶ネクタイを結んだ受刑者たちが看守と共に「Strike Up the Band」(バスビー・バークレーのミュージカル映画。音楽はバーンスタイン、歌うのはジュディ・ガーランド)を歌うシーンから始まる。

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「1000年前の神話の森とか、男女関係についてのバレエを観ることに飽きました。(中略)現代社会についてのバレエはとても少ないのです。ならば、精神異常犯罪者のための州立刑務所にいる精神異常者などの極端なテーマを取り入れてみてはどうだろうと思いました。彼らの態度や動き、けいれんや妄執からクラシックバレエに通じるものを作ることができるかどうか見てみたいと思ったのです」(本作のバレエ化が決まった際のワイズマンのコメント)

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【ワイズマンの映画の特徴】
・「ダイレクト・シネマ」の手法を採用。1960年頃に起こったドキュメンタリー映画の手法で、映像と録音が同時、テロップ、ナレーション、音楽がない。
・人間の主人公がいない。あえて言えば「組織」が主人公。そのため、彼の映画は「社会」を映したものになる。
・時間軸を使わず、スペースを使う。
・事前にリサーチを行わず、台本がない。結果として「予定調和」を避けることになる。
・多作である。
・撮影に期限を設けて、その期間を超えて撮影しない。撮れたものを編集して映画をつくる。その分、編集には時間をかける。
・編集がワイズマンの本領。カットの「順番」と「長さ」で世界を構築する。
・編集でカメラがその場にいない体の映像に仕上げる。

想田和弘による解説

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「処女作ということもあってあれこれ計算して作った感じがある。(中略)作品に対しての明確なビジョンは確実にあるはずだが、ワイズマンはそのテーマも飛び超えるような何かを引き込む力がある」高橋洋

■THOUGHTS
想田和弘の『精神』を思い出した

トロンボーン奏者が映されるシーン好き

「この映画の撮影の後マサチューセッツ州立ブリッジウォーター矯正院はシステムと環境の改善を行った」
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