弓

ジミー/さよならのキスもしてくれないの弓のレビュー・感想・評価

4.9
まだ幼さの残るリバーフェニックスの面差しが青春の痛さをリアルに現していた。
全ては自業自得で目的が果たせないのだけど目の前の誘惑に負けて流されてしまう弱さは自分にも覚えがあるから分かるなあ。金持ちの友達に囲まれて持つ劣等感と反感もよく分かる。ジミーのダメダメぶりには嫌悪感は抱かずむしろ愛しさを感じた。
冒頭のハクスレーの言葉
「人生は歩んだようで結局は出発点にいる。人はそれに気づかず苦労する」
まさにこの通りの映画だった。
でもバタバタと痛いことカッコ悪いことを経験しながら歩んできた人生の出発点はきっと見る景色が違う。結局は父親の望み通りに父親の母校への進学を決めたジミーだったがその顔は夢を諦めた人の顔ではなく人生の出発点に立った希望に満ちた清々しいものだったのが観賞後の気持ちを爽やかにしてくれた。

60年代ファッションもおしゃれだった。ジョイスの服ステキ。リサの女優さんの顔はまさに60年代。

リバーフェニックスは仕草にスタンドバイミーの子役時代の面影が残っていて「あらあら、もうこんなことする大人になったのねー」と親戚のおばちゃん気分になったのもメモに残しておこう。
それにしてもやはり彼がもうこの世にいないのは残念。もっと成長してナイスミドルになってたくさんの映画に出て楽しませてほしかったなぁ。
弓