川尻善昭監督による山田風太郎的なエログロ時代劇アニメーション。
メインである主人公とヒロインとその二人を手玉に取る老人の三人の関係性とかは『妖獣都市』と同じである。
『妖獣都市』では官能的な要素が全面に出てたが、本作は鉄斎が独鈷のブーメランで甲賀忍を切り裂いて血の雨が降り注ぎ、引きちぎった半佐の腕から滴る血を直飲みしたりと、バイオレンスな描写がグレードアップしてる。
それでいて、抱いた相手を毒で殺すヒロインの陽炎が、獣兵衛に抱かれそうになった時に頬を赤らめて女の顔になるという『妖獣都市』にないエロスな描写もある。
冷静に観ると全体的に止め絵が多いが、これも『妖獣都市』同様キャラデザが劇画調で線の密度が濃いのでキャラのクローズアップが続いても画面が保つのと、川尻監督独特の赤や青の色使いと一枚一枚キマったレイアウトで全く飽きさせない。