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活きるの一のレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
3.8
中国の巨匠 チャン・イーモウ監督作品

内戦から文化大革命へと激動する1940~60年代の中国史を一組の夫婦の歩みを通して活写し、カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞した作品

『さらば、わが愛/覇王別姫』や『在りし日の歌』に通ずるような、まさに激動の中国史をなぞるようにして、時代の犠牲ともいえる家族の壮絶な物語

平凡な毎日でも生きていくのはとても大変だけど、いつかそんなこともあったと笑いあえる日が来る事を信じて踏ん張る逞しさ
時折ブラックとも思えるほどのユーモアを織り交ぜながら、どんなに辛く苦しくても、貧しい時にこそ強く活きるというような気持ちがひしひしと伝わってくるような力強さに胸打たれる

時代が進むにつれての老け込んで変化する人々のビジュアルのクオリティもめちゃくちゃ高いし、
母親を演じた中村アン(写真だと宮沢りえ)に激似のコン・リーや、父親役のグォ・ヨウは佇まいから身振りや細かな表情にまで完璧にこなしてくれるので、悲哀や哀愁、クスッと笑える場面も完全に受け入れられてしまう

壮絶なほど時代に翻弄された家族を、単なるお涙頂戴映画として消費せず、圧倒的な語り口と胸に迫る美しい映像でじんわりと感動させてくれるチャン・イーモウ監督にはセンスしか感じないし、タイトルが“生きる”ではなく“活きる”というのがなんとも“粋”ですね

〈 Rotten Tomatoes 🍅86% 🍿96% 〉
〈 IMDb 8.3 / Metascore - / Letterboxd 4.1 〉

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