つるみん

活きるのつるみんのレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
3.7
【マントウ】

1940年代。激動の中国に翻弄された家族の運命を描いたヒューマンドラマ。

監督は『あの子を探して』や『初恋のきた道』のチャン・イーモウ。彼が淡々と中国の家族を描きながらもそこにはしっかりとしたドラマ性があり、この家族の幸せをひたすら願うばかりであった。

内戦、大躍進、文化大革命といった波乱の社会の動きの中、生きるので精一杯な国民。社会に大きな動きがあれば、その度に国民は何かしらを失う。そして自力で立て直すの繰り返し。

本作は近代中国史に興味がないと若干退屈になってしまいがちなヒューマンドラマであったが、所々にユーモアを挟む事によって作品として上手く纏まりが出ていた。特にラストの出産シーンでの一幕は正直ブラックコメディと言っていいほど皮肉で悲惨。
またチャン・イーモウ作品にしては珍しい、温かなハッピーエンドで終わるのも個人的には良点。

しかし本作、あまりにも事実を描きすぎたのか中国では鑑賞できないという衝撃。相変わらず思想統制が怖すぎる。
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