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ロッキー3のsatoshiのレビュー・感想・評価

ロッキー3(1982年製作の映画)
3.7
 「やり直し」した後のシリーズ3作目。前作が微妙だったので、あまり期待していなかったのですが、前作より格段に面白い作品でした。
 
 観始めてまず驚くのが、スタローンです。全2作とは違い、貫禄がついています。失礼ですが、前作までは「イタリアの種馬」の呼称が似合う感じの顔でしたが、本作では違います。引き締まった顔をして、ブランドもののスーツでビシッと決めていて、尚且つそれが似合っている。体格も『ランボー』と同時期に制作した事もあり、前作までとは比べ物にならないくらいのがっしりした体になっています。なので、試合シーンも全2作とは違った迫力があります。

 そんな肉体的には歴代最強と言ってもいい彼ですが、メンタルは歴代最弱。本作はチャンピオンになり、奢り、「虎の目」を失った彼が、もう一度「立ち上がる」話です。

 本作も例によって、大筋は前2作と同じ。ですが、前作と比べると、語り口は大分スマートになっていました。例えば、序盤の「アイ・オブ・ザ・タイガー」にのせて描かれるロッキーとクラバーの対比のさせ方や、最初と最後の試合におけるロッキーの心情の変化をしっかりと捉えた演出とかです。また、本作のクラバー自体も「ハングリーさ」という点では過去の彼そのもので、本作の構造自体が「過去の自分のハングリーさと対峙し、また立ち上がる」話だと思います。

 ロッキーは試合に負けてしまうわけですが、ここで重要なのが、負け方。彼は何度打ちのめされても立ち上がり、諦めませんでした。ですが、本作では諦めているのです。心が折れているのです。これは完全な敗北です。ミッキーの死も重なり、そんな負け方をして落ち込んでいる彼の前に出てくるのが、宿敵アポロ・クリード。彼の指導と、エイドリアンの叱咤激励により、「精一杯やるだけだ」と「虎の目」を取り戻していくロッキーの姿は素晴らしいです。

 まぁ、ロッキーがあまりにも英雄視され過ぎじゃないかとか言いたいことがないわけではないですが、それでも前作よりかは楽しめました。
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