とらキチ

フットルースのとらキチのレビュー・感想・評価

フットルース(1984年製作の映画)
4.0
「フラッシュ・ダンス」に続いての80年代ダンスムービーを鑑賞。
シカゴから保守的な田舎町にやって来た高校生レンが、住人達との間の隔たりを克服して行く青春物語。「フラッシュ・ダンス」とは違い、軽快でキャッチーなダンスミュージックに覆われてはいるものの、メッセージ性がかなり深い。ストーリー序盤の車から車への乗り移り、トラクターでのチキンレース、向かってくる貨物列車へ立ちはだかったりする、無茶3連発なんかは、田舎町で鬱屈した若者達の衝動の発露を表しているし、主人公レンの周囲の非難をものともせず信念を貫き通す姿勢や、ヒロインの父親で、田舎町の精神的な支柱の役割であった牧師の心境・価値観の変化を見ていると、結構感動してしまう。
でも、これはフォローさせて頂いている方がレビューで指摘されていたのだが、今作に込められたメッセージはそんな表面的なものだけじゃなくて、実は同性愛者の人権と社会への受け入れを訴えていた作品でもあった、ということ。しかもあからさまな同性愛者のキャラクターを一切配さずに、である。それでも器械体操部だったり、レンとウィラードが互いに戯れあっていたり、シャワールームのシーンであったりと、いろんなところで、よーく見ていると確かに仄かにゲイの香りが漂っている。そしてマッチョの象徴でレンをイジメるチャックのクルマにはレインボーステッカーが貼られていたりする。そんなメタファーを踏まえ、改めて見ると、また違った趣きがあって、観ていて本当に深いなぁ…と思ってしまう。
「What a feeling」に続いて「Holding Out for a Hero」と麻倉未稀姐さんがカヴァーした名曲を2日連続で聞けたのもとても良かった。次はBon Joviの「Runaway」だな(笑)
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