ちいさいころにちょっと背伸びしてはじめて読んだ小説が「にんじん」でした。これは1932年の映画!なんと!当時にんじんはわたしよりも年上だったので、てっきり主人公は青年だとおもってたな。
いっぱいに広がる自然や、にんじん役のおとこのこも赤毛そばかすに華奢な容姿がすごくかわいい。色がキーになっているおはなしだから、カラーじゃないのがざんねん…そのまんま色付きでもじゅうぶんイケる映像だからこそすごくざんねん…
「にんじん」は赤毛そばかすの男の子。赤毛はわたしたち日本人から見たらすごくオシャレでかわいいけど、欧米人ではからかわれる容姿の象徴なのである。
かわいげがないほど賢くてはたらきものなのに、家族から上手に愛されずにそだったにんじん。不安定にゆれうごくのにどうにもできない彼の感情は、おとなのこころにぐさぐさとささります。
この作品は全員がわるいひとすぎずいいひとすぎないのがふつうっぽくてすごくいい。だれが特別にわるいって話じゃないので、こちらも「にんじん、はやくそのままのびのびとおとなになってくれ」と願うことしかできなくてつらい。
終盤のパパのひとこともすごくよかった。愛されることもむずかしいけど、同時に愛することもすごくむずかしいね