鍋レモン

ニューヨーク、アイラブユーの鍋レモンのレビュー・感想・評価

3.6
⚪概要とあらすじ
大都会ニューヨークを舞台に、さまざまな愛の物語が展開する珠玉のアンサンブル・ムービー。

摩天楼がそびえ立ち、大勢の人々が行き交う活気に満ちている街ニューヨーク。この眠らない大都会では、今日も無数の出会いが生まれ、愛のドラマが繰り広げられていた。そんな中、スリの青年ベン(ヘイデン・クリステンセン)は、チャイナタウンで目にした女性モリー(レイチェル・ビルソン)に心惹かれるが...。

⚪セリフ
「アンソニー・ミンゲラに捧ぐ」

⚪感想
群像劇やオムニバス形式の作品が好きなので思っていた以上に面白かった作品。
観ようか迷っていたので観てよかった。

様々な人種や宗教、個人個人。それぞれの価値観。

それぞれの物語の登場人物が軽く交わっていて観ていて楽しい。俳優さんや女優さんの顔を知っている方が楽しめると思う。

ご婦人と足の不自由なスタッフの物語と画家の物語が好きだった。

他の方のレビューは全体的に過小評価な気も。キャストの無駄遣いって訳ではないし、自分が顔の判別ができないゆえの内容がわけわからないというのはちょっと違うような。逆に、岩井俊二監督の作品は過大評価のような。文学や日本の作品を用いているからすぐ彼の作品だと分かるし、この物語だけ観た方がキャストの無駄遣い。
それぞれの個人の好みがあるのでしょうがないけど。

女優のスカーレット・ヨハンソンも監督をしたけど、全編カットされたそうで残念。



⚪以下ネタバレ



チアン・ウェン監督の作品は、スリがうまい泥棒お話。ある財布を盗んだあと、素敵な女性を見つけ追いかけてからの物語。
始まりから終わりまでテンポが良くて好きな展開だった。オチは微妙だったけどエンディングに続きっぽいシーンがあった。
女性を守るアンディ・ガルシアがかっこいい。

ミーラー・ナーイル監督の作品は、宝石商と宗教についてがメインの物語。
ヒンドゥー教やジャイナ教、ユダヤ教、キリスト教について話してたりして面白い。ナタリー・ポートマンはユダヤ系だもんね。それぞれの宗教についてちょっと知れる。
宝石商とそこに来た結婚間際の女性。この2人は本当はお互いのことが好きだったりするんじゃないのかな。もしもの世界がちょっと切ない。

岩井俊二監督の作品は、多分映画の音楽を作る男性と女性の物語。
オーランド・ブルーム演じるデヴィッドの家には『デスノート』のLのポスターがあり、映画に音楽をつける仕事をしているっぽい。映画はゲド戦記だった。オーランド・ブルームはもさっとしてた。彼女のクリスティーナ・リッチは少しの出演だけど仕草が可愛かった。
日本文化と文学が感じられる作品。

イヴァン・アタル監督の作品はタバコの火をもらったこときっかけに運命と言いしつこいナンパ男の物語。
イーサン・ホーク演じる男が永遠早口で喋り倒して女性を口説く。所々知的、エロを混ぜ込んだ芸術家的な口説き文句。実際に居たら気持ち悪いけどイーサン・ホークなら許されてしまうかも。
口説きの結果が見物。

ブレット・ラトナー監督の作品は彼女に振られいつも頼りにしている男性から自分の娘を紹介されてその子とプロムに行くことになった若者の物語。
男性の娘に当日会ってみると実は車椅子だったってことに驚いてからのそのあとの展開が面白かった。ほんのり心が温まってクスリと笑える作品。
アントン・イェルチンって本当にかっこいい。もう亡くなってしまってることがいつも信じられない。

アレン・ヒューズ監督の作品は相手のことが頭から離れない男女の物語。
ブラッドリー・クーパーがハンサム。
タクシーの運転手的には色々迷惑だったろうなと。

シェカール・カプール監督の作品は元歌手のご婦人と足が不自由なホテルスタッフの青年の物語。
物語としては内容がかなり謎なんだけど雰囲気と音楽、演出が良かった。どこか美しく切ない。でも綺麗。
部屋と鏡と服と花と登場人物のバランス。
シャイア・ラブーフに最近心動かされてる気が。目が綺麗。

ナタリー・ポートマン監督の作品は人種差別が根底にある物語。
黒人である人達は昔からお世話係として働いてる名残があるんだよね。今でも海外の有名な女優さんや俳優さんの娘や息子の子守りに黒人の人が従事しているところもあるとか。
最後に子守りである彼をパパと読んだ女の子、血ではなく愛なんだろうなとか。

ファティ・アキン監督の作品は画家が絵のモデルに女性を誘う物語。
全体的に芸術と運命が混じりあったかのような素敵な作品。
絵のモデルを頼まれる女性を演じたスー・チーは『トランスポーター』でヒロインをしてた人で見覚えがあった。
絵の色の付け方の演出がオシャレだった。
展開は何となくこうなるだろうってことはわかったけど芸術的で美しい。

イヴァン・アタル監督の作品はタバコの火をもらった女性と男性の物語。
結局よく分からなかったのでもしかしたらネタバレになってしまうけど、ああいうやり取りしていたけど実は夫婦でしたってことなのかな。

ランディ・バルスマイヤー監督の作品は全然旅行に行けてないカップルの物語。短すぎてこれが一つの作品なのか合間のやつなのか分からなかった。
オチが割とすきだった。

ジョシュア・マーストン監督の作品は熟年夫婦の物語。
夫と妻の夫婦漫才のようなやり取りにほっこり。

⚪登場人物と作品メモ

『スリ』
チアン・ウェン監督作 
ベン:ヘイデン・クリステンセン
モリー:レイチェル・ビルソン
ギャリー:アンディ・ガルシア

『宝石商と宗教』
ミーラー・ナーイル監督作 
マンスークバイ:イルファーン・カーン
リフカ:ナタリー・ポートマン

『映画音楽家』
岩井俊二監督作 
デヴィッド:オーランド・ブルーム
カミーユ:クリスティーナ・リッチ

『路上で口説く男』
イヴァン・アタル監督作 
娼婦:マギー・Q
作家:イーサン・ホーク

『車椅子でプロム』
ブレット・ラトナー監督作 
若者:アントン・イェルチン
車椅子の女性:オリヴィア・サールビー
リッコリ:ジェームズ・カーン
元彼女:ブレイク・ライヴリー

『ゆきずりのつもりの男女が』
アレン・ヒューズ監督作 
リディア:ドレア・ド・マッテオ
ガス:ブラッドレイ・クーパー

『元歌手とホテルマン』
シェカール・カプール監督作 
ジェイコブ:シャイア・ラブーフ
イザベル:ジュリー・クリスティ
ホテルマン:ジョン・ハート

『男性子守はダンサー』
ナタリー・ポートマン監督作 
ダンテ:カルロス・アコスタ
マギー:ジャシンダ・バレット
テヤ:テイラー・ギア

『絵のモデル』
ファティ・アキン監督作 
画家:ウグル・ユーセル
中国茶店の店員:スー・チー
アパートの管理人:バート・ヤング

『レストラン外で喫煙男女』
イヴァン・アタル監督作 
アンナ:ロビン・ライト・ペン
アレックス:クリス・クーパー

『何処か連れてけと喧嘩カップル』
ランディ・バルスマイヤー監督作 
ゾーイ:エミリー・オハナ
ジャスティン:ジャスティン・バーサ
サラ:エヴァ・アムリ

『歩行不自由な老夫婦』
ジョシュア・マーストン監督作 
エイブ:イーライ・ウォラック
ミツィー:クロリス・リーチマン

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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