映画観るマシーン

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットの映画観るマシーンのレビュー・感想・評価

4.4
4人vs200人!"死の舞踏"とも呼ばれるラストの壮絶な銃撃戦は伝説です
時代に取り残された"西部の男たち"の哀惜を叙情的かつバイオレンスに描き埋葬した最後の西部劇
蠍と大量の蟻が闘ってるところに子供たちが火を放つ描写で映画が始まるわけですが、まさしく全ての人間の中に平等に潜む暴力性を暴くサム・ペキンパーらしいですね。また蟻に勝ったところで火に焼き尽くされ生きる道を持たない蠍たちはパイク一行を象徴しているようにも思えます。

銀行強盗、馬を乗り回し、荒野を駆け抜け、列車強盗。酒。女。西部劇に引導を渡したと評されながら西部劇の全てが詰まってるので西部劇好きには堪らないでしょう。

クライマックスの"死の舞踏"
パイクら4人の行進は古き西部の終焉を表す。自分たちを取り囲むメキシコ兵数百人を前に、自らの末路を悟って笑い出す4人。血と銃弾の雨の中で仁義と意地に生命を散らす男たちにハートが震えます。中でもウォーレン・オーツ演じるライルが雄叫びを上げながら機関銃を乱射するシーンが一番好きですね。彼の魂の咆哮なんでしょう。目頭が熱くなります。彼の叫び声が耳にこびりついて離れません。
「パイク!死ぬな!」のダッチの声を受けて絶命の瞬間まで敵に機関銃を向けようとするも叶わないパイク、足掻こうにも足掻けない限界を悟った老いた男の姿。この哀愁を自分に重ねて本当の意味で理解するには私はまだ若すぎたのかもしれません。

全てが終わった後にやって来たかつての仲間ソーントンが醸し出すなんとも言えない虚無と哀惜が深い余韻を残します。ソーントンが手に取った果てたパイクのホルダーに収められた古びた拳銃、物盗りの対象にすらならない終わりゆく一時代の産物。そこに現れるサイクス。残された者だけが背負う愁いと共にソーントンとサイクスは新しい旅へ。。。

“Let’s go.”
“....Why not!”