みーちゃん

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットのみーちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
子供の頃、家の中にはいつも西部劇が流れてた。本作もその一つ。バイオレンスシーンがあまりにも有名で、確かに橋の爆破や銃撃戦など、今観ても驚きがある。

でも私は前半部分の彼らの人間性や関係性の描写も好き(女性の描写は時代違いとして除外)。

例えば、なんせワイルドなバンチだから、よく内輪揉めが起きる。すぐ一触即発になる。その時の事態収束がお見事。誰も恥をかかない&皆んなの面子を立てるというおさめ方。一瞬緊張感が走るけど、最後はお決まりの馬鹿話で大笑い。大人の対応の教科書。

焚き火の側でパイクとダッチが会話するシーンも美しい。言葉は少ないけれど強い信頼感が伝わってきて、ぐっとくる。特にダッチ役のアーネスト・ボーグナインから溢れる人間味がパイクの相棒&チームの参謀にぴったり。すごく良い。もし彼でなかったら、全く違うテイストの作品になっていただろうと思わせる存在感。

そして泣いてしまうのは、サイクスがパイクにさりげなく駆け寄ってきて孫の最後の仕事ぶりを尋ねるシーン。サラッとした短い会話だが、その意味の深さに胸が詰まる。

こんな風に物語の土台となる部分がしっかり固められているからこそ、彼らの行動を最後まで理解することができ、バイオレンスシーンも生きるのだと思う。

※ U-NEXT のは145分だからディレクターズ・カット版なのかしら。