すえ

少女ムシェットのすえのレビュー・感想・評価

少女ムシェット(1967年製作の映画)
4.4
記録

ブレッソン作品2作目。
最近『私、オフガヘプナロヴァー』を鑑賞し、そこで話題にあがっていた今作。なるほど共通点が多い、『私、オルガヘプナロヴァー』は現代の『少女ムシェット』ともいえるのかもしれない。
ブレッソンの作品を観る感覚は純文学を読む感覚に似ている、説明は極力しない、鑑賞者が受け取るものが全て。
前作の『バルタザールどこへ行く』はロバ、今作は木靴が効果的に写されている、足元のショットが印象的だった。それにしても、自分が意識的に観ているのも影響しているんだろうが、どのショットも手に目が惹かれてしまう、美して儚い。
「自らを殺すことは、勇気のいることでもあるのです。自らを殺さないことも、勇気のいることだと言えます。人生がもたらさざるを得ない最悪のものでさえ、失いたくはないと願うがゆえに。」とブレッソンは語る。
自殺は狂気ではなく、ある種の空虚さによってもたらされる。

2023,166本目 6/7 DVD
すえ

すえ