Melko

リトル・ロマンスのMelkoのレビュー・感想・評価

リトル・ロマンス(1979年製作の映画)
3.7
- 普通じゃなくていいよ
- お互いを信じていましょうね

頭でっかちな少年少女の駆け落ち騒動

残業で疲れた身を癒したくて見始めたら、主人公のダニエルが全く私のタイプではなく、映画オタクのイタすぎる部分が出てる自己紹介にドン引いてしまい、体型にあまり似合わないGジャンにパンタロンで服もダサい…ヒロインのローレンはお顔は美しいしスタイルもいいけど、妙に大人びていて、頭は良さげなのに肝心なことを人に言わなかったり逆に余計なことを言いすぎたり、ドンくささが裏目に出ることばかりするわで、メイン2人への好感が持てずモヤモヤ。おまけにそんな2人のお供な紳士ジュリウスのまさかの秘密に「えぇ〜」と人間不信に。。
もうこの映画好きになれないわ、何コレ…と思ったけど、それでも最後まで見てみて、、
紆余曲折を経て遂に辿り着いた、ベニスため息橋での2人の抱擁と別れ際ラストの2人の涙に、むちゃくちゃ救われた。
小難しい本を読み、いつも一人で行動し、なるほど、お互い友達と呼べる存在は1人ずつしかいない、頭が良く言動が大人びてるために「浮いてる」2人にとって、お互いはやっと出会えた理解し合える異性。
これが恋なのかもしれない。愛なのかもしれない。

歳を重ねると、どうしても若者の親目線になってしまい、こんなにたくさんの大人に迷惑かけて!とイライラしてしまったけど、理解されない愛ほど燃えるモノ。

好き好きだけではない、人間同士お互いのお互いに対する嫉妬やイラつきを曝け出しながら、それでも、信じた愛のために爆進する2人。大騒ぎを起こしはしたが、かけがえのないものを得られたらしい、ラストの涙とダニエルの弾ける笑顔が、荒んだ私の心を浄化してくれた気がする。

大人びた2人はまだまだ子供で、やることなすことやぶれかぶれで行き当たりばったり。それでも純粋にお互いを好きでいるダニエルとローレンに心を動かされ、土壇場のジュリウスはとんでもない漢気を見せる。夕暮れの鐘が鳴るまでは、2人の居場所は言えません、と。

あとはローレンの義理父が大人スマートでカッコよかったな。子どもの味方な、こんな大人でいたいものです。
反対に母親は自分のこと棚にあげマンな毒親気質。ああいう大人にはならないでおこう。

推しキャラはダニエルの唯一の友達で映画館の息子?スケベなロンデ。ナイスなタイミングに何回も出てきて、推せる良いキャラ。ナタリーとは良いコンビだ。

「明日に向かって撃て」フランス語吹き替えや、「スティング」の場面が出てきたのは嬉しかったなあ。
全編通して幼く無軌道な行動にイラッとさせられもしたけど、越境するために自転車ラリーに紛れたり、騙した夫婦の妻に大聖堂の中で仮眠取ってる時に見つかったり、なかなかクスッとする場面も多かった。
終わりよければ良し的な。
Melko

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