yuuuumi

カポーティのyuuuumiのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
3.0
実在した作家である、トルーマン・カポーティ。
『ティファニーで朝食を』の作家であるということを、この映画を見るまで知らなくて驚きました。
この映画、トルーマンの『冷血』という小説を書き上げるまでの苦悩の過程が描かれています。

一家殺人事件を執筆したい想いから知りたい衝動を押さえられず、その犯人である死刑囚となった、ペリー・スミスの事件を本にすることにしたトルーマン。

犯人の行動を詳細に取り憑かれたかのように調査していく事で、人生まで狂ったと発言するトルーマン。

ペリーと、トルーマンの二人。殺人犯と作家という立場でありながら、二人の過去の暗い生い立ちには、特別ではないと、お互いに共感し、理解していく姿が描かれています。
同じような境遇で育ったけど、その暗すぎる過去からの社会への入り口は、ペリーは家の裏口、トルーマンは表玄関からという例えに、その後の人生の歩んだ道のりの選択が示されていると感じた。

トルーマンがこの小説を執筆するまでに、ペリーと心を通わせ合う事の葛藤や、苦悩が描かれています。

心に闇を抱えているペリーの信用を得るまでにかかった時間は長く、殺人を起こしてしまった日の事を振り返ってトルーマンに告白した時の涙は演技ではなかったそうです。

この映画、正直、全編暗いんですけど、トルーマンが今後長編を執筆できなくなった程の、人生を変えたこの原作を読んで見たいと思いました。
yuuuumi

yuuuumi