おとなのみほん

カポーティのおとなのみほんのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
3.2
ホフマンの第一声を聞いた時、鳥肌が立った。


これは、ホフマンが凄過ぎる。
でもこの一作では駄作だ。
この筋書きで物語を追うには、僅かに殺人犯への同情心を煽るだけのものだから。でもホフマンの徹底した役作りが「冷血」と言う作品を先ず知らずして何を見る?と言う流れにこの映画自体を折り曲げて軌道を変えているからこそ、この一作では駄目になってしまうのだ!
だからこそ素晴らしいとも言えます!

とても深い。
殺人犯ペリーと作家カポーティ。
酷似した環境で育ったペリーが非情な殺人犯になってしまった。これに、カポーティは、何処か高揚と憧れを抱いている。それは例えば私がエドワード・ノートンの真似をして鏡の前でファッキューと愚痴をこぼしてみたり、キングスマンが公開してから周りの男性の黒縁眼鏡率が上がっただとか、そう言うことと全くおなじタイプの親しみと憧れと様々な好感をこの殺人鬼に抱いているから恐ろしい!
だから「冷血」でのペリーは残忍で異質。精神のいかれたサイコ野郎だけど、知的で自尊心も持ち合わせている。これはカポーティだ。
自分だってこの存在になり得たのだって言う惜しみにも似た主張と、ふと込み上げる人としての嫌悪感、檻に入る彼を見て外の暮らしと言う優越感も感じているこのえげつなさを淡々と演じるホフマンの腕よ!
カポーティの作風が一転する「冷血」。ホフマンはこの異質な作家の読解に、「ゲイ的愛情」と言う安易なワードを用いることなく、「顕示欲」と言うワードでほぐすことで、必然的に「愛」を消す事から愛情の欠如を感じさせたし、「欲」を出す事で主人公への愛も湧かない。計算高くも文学的で素晴らしい演技だった!
本当に惜しい俳優を亡くした。