Yui

カポーティのYuiのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
4.0
『ティファニーで朝食を』で有名なトルーマン・カポーティ。ノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを切り拓いた彼の傑作『冷血』誕生の秘話を描いた伝記ドラマ。

のどかな田舎町で一家4人惨殺事件が発生する。翌日、NYでこの事件を知った作家カポーティは、これを作品にしようとすぐさま現地へと取材に向かう。やがて逮捕された犯人との接触に成功したカポーティは、多くを語らぬ犯人に創作意欲を刺激されていく…。


誰かの痛みや悲しみや傷、闇に触れる時、自分には到底分かる事は出来ないけれど寄り添いたいと思う場合は、物事を頭で考えて、自分の感情と混ざり合うような、頭で考える前にもう心に染み込んでいるような気がする場合は、既に心で深く共鳴しているような気がしてる。

主人公が犯人に共鳴して行き、葛藤する姿に、とても切なくなってしまった。

解るという事が、時に人生を変える程の経験になるし、相手は人間だから尚更、繊細で複雑な感情が生まれるという事を、フィリップ・シーモア・ホフマンの圧巻の演技力から、ズブズブと自分の心に入り込まれたような感覚になった。

悲しくて、切なくて、もどかしくて泣きそう。
序盤は余りハマれなかったんだけど、話が進むにつれ、どんどん集中して行ったし、ラストは余韻がずしんと来ました。


「例えて言えば、僕と彼は一緒に育ったが
ある日彼は家の裏口から出ていき
僕は表玄関から出た」

一番、共感出来て、心に残ったセリフだった。



2022-234
Yui

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