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カポーティの遊のレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
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多かれ少なかれ創作というものは必ず現実に立脚/現実を侵食するわけで、その作品が世に広まることで迷惑を被る現実の誰かが存在する、これってたとえば映画を撮影するとそのロケ地に住む人々の邪魔になる、とかも同じだよなと思った

しかし、人々は自分が置かれている現実を超越した虚構としての「作品」を欲するわけで、創作に携わる人間は「現実の秩序/ルール/束縛」をときには破って 人々に迷惑をかけるリスクを冒して(冒すだけであって、「責任を取る」とかはできない)作品を産み落としていかなければならない......なんて言うと、罪と罰でラスコーリニコフが言う「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら社会道徳を踏み外す権利を持つ」みたいでエラそうだけど 創作を行う者は根源的に尊大さを持ち合わせている 映画業界には尊大なやつが多い

なろう系、異世界転生が小説のジャンルとして流行るのは、ファンタジー世界のお話なら現実とのつながりが薄く(着想の時点でまったく無関係なわけはないんだけど)、「誰も傷つけない」創作 ≒ 現実への気配りが不要で自由にやれる創作だから、みたいなこともあるのかも?
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