クワン

ママの遺したラヴソングのクワンのレビュー・感想・評価

ママの遺したラヴソング(2004年製作の映画)
3.7
スカーレット・ヨハンソン当時20歳の魅力がギュッと詰まっている。
彼女の無防備に発散される色気。この頃から天性のものだった。
彼女は、親の愛を知らずに自堕落な生活を送っている。歌手だった母親が死んだという知らせを受け、故郷のニュー・オリンズの母の住んでいたトレーラーに帰ってみると、そこには生前母と一緒にいた元大学教授のジョン・トラボルタと作家志望の男が住んでて、しかもアルコール依存で落ちぶれ感が半端ない2人との奇妙な生活が始まり、、、そんなゴミ溜めの中のスカーレット・ヨハンソンの生命力と存在感が画面に満ち満ちている。途中、唐突に現れる彼女の豊満なセミヌードに男性、女性構わず、目が釘付けになると思う 笑

ジョン・トラヴォルタが頭をすっかり白髪にして老け役で登場するが、たまに魅せるギターの弾き語りやダンスは素晴らしい。作家志望の男のゲイブリエル・マックも繊細な演技を見せ、「クラッシュ」のデボラ・アンガーもいい味を出す。女性監督らしく、心情描写が繊細で、田舎の風景が心に沁みて、そこに豊かな交流があり、いい音楽が流れる。人生半ばにして余生を生きているようなゆったりと流れる時間がいい。ある意味、人生ぼろぼろの彼らを暖かい眼差しで描いている。

彼女が、全く知らなかった母の姿を周囲の人たちから知っていき、文学にも親しみ出し、大学に行くことを勧められる。親の愛を知らずに育った娘が少しずつ癒されて行き、「愛」を知るという定番のストーリーだけど、スカーレット・ヨハンソンが見事にその過程を体現してくれている。クライマックス、母の遺した楽譜が彼女の運命を大きく動かしていく流れもじわっと来る。

ジョン・トラボルタが今や疲れ果てた元英文学教授なだけに、シェイクスピアや詩人のブラウニングやフロストの句などの名言を語るのだけど、逃避の先の遊戯のようで、自分の言葉を持たない淋しさが伝わる。でも、クライマックスで語られるT・Sエリオットの言葉はぴったり物語とはまる。

「人は冒険をやめてはならない 長い冒険の果てに 出発点に辿り着くのだから」

多くの痛みを持つ登場人物を配しながら、どこか、心晴れやかなラストに至る。何気なく見たのだけど、なかなか味わい深い作品だと思う。