CHEBUNBUN

木と市長と文化会館/または七つの偶然のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.0
【究極の政治ディスカッション劇】
本作は7つの章から成り立っているのだが、明確なストーリーはなく、ひたすらに人々の会話を撮っていく。まさに現在進行形を撮り収めるドキュメンタリーに近い作品です。いきなり、条件法の授業シーンから始まる。条件法とはフランス語の文法のひとつで、「過去の事実に反する仮定」を指し示す時に使用します。

まさに本作が、条件法を主軸にした作品で、オチこそ見えているものの、そこに向かっていくつもの話による偶然の展開が結びついてくるところがなかなか面白い。

また、本作では政治的皮肉が非常にユニークな形で浮き彫りにされています。支持率が下がると、環境やオリンピック、国際競争力などわかりやすいポイントを強調してなんとか支持率を上げようとするもの。本作の市長は環境に配慮していることを強調するが、町のエコロジストから批判され、やり込められてしまうところが面白い。

シンボルを作ろうとしたときほど、トップを疑う必要があることが本作から痛烈に読み取れる。政治なんか詳しくなくても、ロメールの軽やかな口調にノックアウトされる作品でした。
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