フランス北部の小さな村。
若き市長による文化会館建設計画を巡り、地元の校長、パリのジャーナリスト、小説家、村人に子どもたちまで、賛成・反対の立場から意見をぶつけ合う…。
…という粗筋は小難しそうだけど、実際の作品の印象は180度異なり、のんびり、ほんわか、ニコニコと楽しめちゃう。
エリック・ロメール監督作特有の、”風通しの良さ”のおかけだろうか。
会話を交わす登場人物の隣に、スッと相席させてもらうような自然な距離感。
キャラクターたちの関係性も、ベタベタもギスギスもしていないサラッとした空気が漂う。
スクリーンの中と観ているこちらの間も地続きというか、空気がつながっているような一体感、抜けの良さがある。
フィクションのはずなのに、名文家によるエッセイを味わっているかのような呑み込みやすさもある。ノン・ストレスで楽しめちゃう。
天才ミュージシャンが、路上でアドリブ演奏しちゃっているような軽やかさ。この肩の力の抜け具合が、ロメール作品の何よりの魅力。