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西部戦線異状なしのyuuuumiのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
4.3
戦争に翻弄された学生たち目線の物語で全編モノクロ作品。

『軍服を着ることは名誉』とか、『戦争は良い経験になる』など、教師によって洗脳され、入隊を志願した生徒たち。

実際に戦場を体験する前と後の様子がリアルに描かれ、明るさから一転、止まらない爆撃や、無惨に戦死していく友など、戦場での悲惨さを知ることになっていく。

戦争をする事に徐々に疑問を抱き始め、未来ある生徒達が手足を失ったり、傷ついていく様子がとても悲しく、彼らのセリフ一つ一つにとても重みを感じた。

自分達にも家族や友人がいるように、戦争をしている相手にも同じように家族や友人がいる。
悲惨な状況を知る事によって、何事もない日常というものの有り難みを感じられたし、実際に戦場に出向いた事のない者が勝手な戦争論を語る事は許せなかった。

このような反戦映画が1930年という時代に作られていたのに、現実には起こってはいけない戦争が繰り返される未来になるとは当時考えもしなかったかもしれない。
戦争が誰かの利益になることよりも、必ず誰かが死ぬ現実があるのが戦争だ。
この作品のタイトルの異常なしという言葉が、戦争による人の死が日常に起こっていても使われる事がとても悲しかった。
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