Longsleeper

西部戦線異状なしのLongsleeperのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
4.5
派手さドラマチックさは抑えめだけど、間接直接に伝えられるメッセージがものすごく重い。
目を輝かせて志願した若者たちが、初めて砲撃を受けた時、塹壕で飢えに喘いでいる時、初めて人を殺した時、どんな顔になっていくかが雄弁。
夜中も鳴り止まない砲撃音で眠れず、さらに恐怖に心を病んだ仲間の叫び声が響き続ける場面は、観ている人の五感を塹壕の中に連れて行くパワーがあった。
それなのに、怖がって前線に近づかない料理係が威張り散らし、安全な街にいるおじさんたちが戦争や愛国を語り、自分たちが始めたわけじゃない戦争のために前途ある人々が死んでいく。
『地獄の黙示録』が虚無的な映像に語らせることによって戦争の虚無や狂気を訴えたのに対して、こちらは淡々と戦地の現実を映し出し、率直な言葉で哲学的なメッセージを伝えようとしている。
芸術の側面が強い前者より、個人的には後者のが誠実に思える。
『地獄の黙示録』も名作だとは思うけど。
ドイツ在住時、第一次世界大戦がいかにヨーロッパ人に深いショックを与えたかは度々聞いた。
近代兵器を用いての初めての大規模戦闘で、どれだけ人間が無残な傷を負いうるか、最初に実感した戦争だというのも納得。
国は違うけど、イギリスのドラマでよく戦争のトラウマについて描写されてた背景もなんかわかる。