TAK44マグナム

メガゾーン23のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

メガゾーン23(1985年製作の映画)
3.9
OVA(オリジナルビデオアニメ)創成期に製作され26000本以上販売された伝説のSFロボットアニメ。
ストーリーが謎を残したまま完結せず、続編であるパートⅡ、さらに数百年後を描く(パート)Ⅲが製作され、人気シリーズとなりました。
PS3ではゲーム化もされ、現在も新作が準備されているようです。

80年代の東京が舞台のようにみせて実は・・・という物語の根幹となる設定は、決して本作のオリジナルアイデアというわけではないにしろ、その後のSF作品に多大な影響を与えているのではないでしょうか?
特に、同じく日本初のSFアニメ「攻殻機動隊」の影響を受けたと言われる「マトリックス」は、後の「メガゾーン23(パート)Ⅲ」の色濃いサイバーパンク色と共に(プラグインなどの)ビジュアルイメージが似通っている部分がみてとれます。
ジャパニメーションに精通しているウォシャウスキー兄弟が参考にしたとしても不思議ではないと思うのですが・・・。

ロボット(メカ)と美少女と(アイドル)ソングという三種の神器は、未だ続く「超時空要塞マクロス」シリーズが発明した、アニメ業界において絶対的な成功の法則ともいえるものですが、元々、超時空シリーズとしても考えられていた本作にも鉄板のアイテムとして登場します。

現在ではジャパニメーションの重鎮として活躍めざましい荒牧伸志(バイク好きがこうじて、担当したメカデザインに「機甲創世記モスピーダ」のライドアーマー等のバイクが変形するモノが多い)がデザインした、バイクから変形する主役メカのガーランド。
そのあまりの格好良さに、やまとから発売された完全変形ガーランドが棚に飾ってあるし、アニメに登場したバイクばかり載っている「アニメバイク本」(ガーランドが表紙)も速攻で購入しました。ライドアーマー及び「AKIRA」に登場する金田のバイクと並んで、個人的にアニメ界3大バイクの筆頭じゃないかと思ってます。
ガーランドは「メガゾーン23」シリーズに何種類か登場しますが、反重力システムを持たない本作のタイヤ付きガーランドが一番好きですね。
やはり、現実にあるものが人型ロボットという非現実的なモノに変形するのが一番燃えますし、そうなるとタイヤは重要です。
敵側のハーガンが、バイクユニットに手足を装着しなければロボットになれないのも印象深い。ガーランドの方が、より性能の高いマシンであることが強調されますしね。

美少女は何人か登場しますが、やはりメインとなるのは美樹本晴彦がデザインした時祭イヴでしょう。
他のキャラクターデザインは平野俊弘が担当しているので、まるでイヴは別世界の人間のように際立った存在感をはなってます。
そして、イヴは「メガゾーン23」シリーズを通してミステリアスな存在として描かれていますが、基本的にはアイドル歌手として一斉を風靡しているのです。

マクドナルドでアルバイトしながら仲間たちとバイクを乗り回し、気になる娘はナンパして仲良くなる・・・そんな軽薄な青春を謳歌していた主人公が、やがてガーランドを通じて世界の真実を知ってしまい、感情の赴くままに権力に対して戦いを挑む。
そして、一時の敗北を経て再び立ち上がるまでを、「メガゾーン23」という一つの物語の前編として構成。
この後に製作される事となるパートⅡを後編として直接続くのです。

大人と戦い、少年でいることの限界を知りつつも「汚い大人にはなりたくねえんだよ」と決意を新たにする矢作省吾(主人公。何故か声がワクワクさんの久保田雅人だったりします)が、足を引きずりながら早朝の渋谷に消えてゆくラストは、主題歌と共に心に深く残りました。
ついでに、もう一人のヒロインである高中由唯が枕営業しようとしたところをガーランドを使って省吾がさらってゆくシーンや、決戦前に二人がラブホで結ばれるセックスシーン(当時、アニメでこんなにあからさまな表現はまだ珍しかった)、そしてルパン三世と次元大介がチョロっと顔を出してるところなども丁重に記憶しておきましたよ。

そうそう、OVAですので基本的にテレビでは観られないわけじゃないですか(単館で劇場公開はされましたが)。
どうやって観ようかと悶々としていたところ、ついに近所に一泊2日500円のレンタルビデオ店がオープンするという奇跡が起きたのです。
なにしろ、レンタルビデオがまだまだ一般的ではない時代ですよ。
他の店では一週間レンタルで何千円も取られるのがデフォルトでしたし、ワンコインというのはまさしく画期的だったのです。
早速借りに行きましてね、本作ともう一本で悩んだ挙句、「やはり初志貫徹!」というわけで「メガゾーン23」を無事にレンタルして初鑑賞できたのでした。
・・・で、まっどまっくすな兄と一緒に居間で観たのですが、そこには母親もいたので例のセックスシーンで気まずかったのをよく憶えています。

ちなみに、悩んだもう一本はカルトホラーの「バスケットケース」だったり。
いまではどちらもブルーレイで揃えていますが、やはり少年時代に影響を受けたものは自分にとって永遠なんだなあ・・・と、何だか感慨深いものがありますねぇ。

最後に、タイトルにある23という数字が何を表すのかというと、東京23区の23なんです。
けっこう最近まで知らずにいて、ずっと「何が23なんだろう?」とか「23世紀ってこと?」などと、疑問だったのが恥ずかしい・・・


レンタルビデオ、セル・ブルーレイにて