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幻の光のkabcatのレビュー・感想・評価

幻の光(1995年製作の映画)
4.0
『万引き家族』からさかのぼって4本ほど是枝作品を観たが、この長編デビュー作がいちばん好きかもしれない。特に冒頭の主人公の少女時代の映像がエドワード・ヤンの『クーリンチェ』のようで、闇と光の扱い方が印象的だった。映像は終始美しく、小津安二郎などの影響をストレートに感じるところも多いが、模倣というよりも自分なりに消化したものとして考えたい。演出は抑制されているが、逆に色が雄弁であり、登場人物たちが身にまとう服の黒、自転車の緑、子供の遊ぶピンクのボールといった色が全体のアクセントになっている。
登場人物たちの関西弁がやや不自然(赤井英和と市田ひろみは別)だったり、江角マキコの着こなしがモデルっぽくて慎ましく暮らしている感が薄かったりするのは気になるが、全体のキャストも悪くないと思う。若かりし浅野忠信の幽霊のように青白くて繊細な姿が感慨深い。
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