カタパルトスープレックス

チャイナ・ガールのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)
3.4
時代の徒花であり続けるアベル・フェラーラ監督による80年代ニューヨークを舞台とした『ウェストサイド物語』です。

フェラーラ監督はB級とは言えない何かを持ってるんですよね。80年代だったらミニシアターブームだったからジム・ジャームッシュとかもてはやされた頃。そういうのに乗れずに低予算のエンターテイメントを作っちゃう。まあ、それが持ち味なんですけど。

本作も『ウェストサイド物語』を下敷きにしながら、ちゃんと工夫をしている。イタリア系と中国系の対立を描きながら、世代間の対立も描く。恋仲になる主人公のイタリア系のトニーと中国系のタイにはそれぞれに兄がいて、その兄たちも対立。この兄二人(ラッセル・ウォンとジェームズ・ルッソ)を代表する若い世代の対立が一つの流れであり、弟と妹がそれに巻き込まれていく。ちゃんとストーリーやテーマの立て付けはできている。そして、バイオレンスの描写も過激さはないもののしっかりとみせる。

しかし、メジャーになりきれないフェラーラ監督。ストーリー的に詰め込みすぎて無理もある。一流になりきれない一流半みたいな微妙なバランス感覚。