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ラルジャンのtakatoのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.1
 町山さんの解説を聞いて視聴。黒沢清ホラーへの影響とか、唯一無二な表現方法が非常に興味深いが、やはり前提となっているペシミスティックな世界観があまりシックリこないもんがある。コリン・ウィルソンが「敗北の時代」で指摘していたが、近代文学や哲学を満たしていた無条件な無意味感と敗北感の前提が本作だけでなくブレッソン作品にもがある。


 それらの感情も動的に力強く示されれば、矛盾しているようだが芸術家の素晴らしい力の表現として心を打つものがあるけど、冷たく方程式の解のように無情に示されても、それあんたがそういう風に世界を設定している、或いはそういう風に見えるってだけじゃね?という気がする。


 ブレッソンとしては、エモーショナルに訴える事とは正反対なブレヒト的な方向にいきたいのかもしれないが、やはり私は少なくても映画でその方向には合わないものがある。影響を受けた黒沢清作品、特に「蜘蛛の瞳、蛇の道」などに満ち満ちている、普通の街角が不穏で底知れないものになる恐怖の方が好きだなぁ。
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