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ラルジャンの1000のレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.9
2018年度の「100本目」も、無事に傑作と出会えた……。

満を持しての初ブレッソン。こういう撮り方がこの人の作風なのかはまだ定かではないが、手元ばかりのカメラワークが至極好みだった。近頃、病的なまでにアキ・カウリスマキのことしか考えられないが、そのルーツをここに見つけた気がする。

贋札、鍵、手紙、凶器。次から次へと飛び交うモノたちは、無口な人間たちよりもよっぽど雄弁だ。そんなオブジェクトたちが紡ぐ網の目が、無垢な人間性を踏みにじるという悲劇は、ハーマン的というよりラトゥール的というべきか。正直者がバカを見るのは、独りだけで退隠し生きていくことの本質的不可能性に気づいていないからだ。

にしても、駒場の10号館で映画を観れるというのは革命的な発見だ。これからもたくさん観るぞう。
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