真のグローバルな才能とは、大島渚のような監督のことを言うのかもしれないな…と見終わった後に率先に感じた。
なんだか色々凄かった。
戦時中の日本の異常性を客観的に描きつつ、狂気に満ちた集団の中にある、個の弱さや美しさを二人の日本人を通してズシンと伝えてくる。
頰にキスをするという、西洋の日常的な挨拶としての行為が、本作では命懸けの強烈な愛情表現となっている。
現代の感覚からすれば、その結果には不条理を感じずにはいられない。
デヴィッド・ボウイや坂本龍一(当初は沢田研二を予定していたらしいが)や武を使うことにより、馴染みのある戦争映画とは異なる独特の演出になっている。
それ故にリアリティがないのだが、ある種の美しい作品に仕上がっている。
ただ一つ惜しまれるのは、監督が最初にイメージしていた沢田研二でやはり見てみたかった。
坂本龍一としての完成形ではあるが、、
彼の役柄の複雑な感情を汲み取るには、俳優としてのセンスがとても重要だったように思う。命懸けの気迫のようなものが感じられると、また違った作品になっていたかもしれない。
「太陽を盗んだ男」の狂気に満ちた沢田研二から、仄かにイメージできる別の完成形が気になりました。