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戦場のメリークリスマスのharuのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.7
『メリークリスマス、ミスターローレンス』
有名過ぎるラストシーンは知っていたものの、視聴したことはありませんでした。

視聴前に想像していた内容とは全く異なり、壮絶な戦争シーンなどは全く無く、どちらかというと戦時中の人間の思考の歪みや、極限状態のなかでも不変の人間愛に焦点をあてた作品なのかと感じました。

ビートたけし演ずるハラとローレンスの友情に近い感情、坂本龍一演ずるヨノイの心の奥に潜ませた同性愛に近い感情、そしてその感情を全て抑制してしまう戦争という環境。余りにも残酷な環境であると感じてしまいます。

日本兵が当たり前のように行っていた行動や思考は、同じ日本人の私でも理解することはできません。
ローレンスが祭壇を破壊する葬儀のシーンからも、戦時中の日本人のガッチガチの宗教的な考え方を批判するようなメッセージを感じました。

デヴィットボウイのキスシーンからもまた、戦時中の日本兵の異常な程の信仰心に気づかされます。ヨノイが彼に惹かれていることに気づいてこなかった(認めたくなかった?)のも、戦時中であり、立場のあるヨノイだからこそのことなのだろうと感じます。キスされたときに初めてその感情に気付いたヨノイのその後の行動も、そんなことを示しているのかなぁと。

まぁ、細かいこと抜きに、ラストシーンのビートたけしは最高ですね。
戦争というしがらみを全て捨て、思いの全てをローレンスに伝えることができた喜びの感情が、全てあのラストに表現されていました。
なかなか巡り会えない、最高のラストシーンだと思います。
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