いしはらしんすけ

戦場のメリークリスマスのいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.6
TVで何回か観てるはずですが、それも随分前なことまあって、内容すっかり忘れてましたね。

まあそれもある程度やむなしというか、原作のテイストをどこまで残してんのか、不勉強にして知らんけど、なんか文学的かつ難解なムードが支配的でして。

メインのキャラクターは4人なんだけど、微妙に群像劇って雰囲気でもなく、回想とかで背景が語られている(しかも割と唐突に)分、ボウイ演じるジャックさんがやはり主役なんだろうなぁ。

ボウイの演技自体は、ビンタとか明らかに当たってなかったりして割とミュージシャンの余技的な「お客さん」演技ですが、その圧倒的美貌で成立させちゃってるのは、さすがのスターマンっぷりですな。

一方で演技に関しての自虐コメントを紹介される機会も多い坂本教授は、相応の素人っぽさを感じさせつつ、結構武士道かぶれの青年将校感出してて、意外と頑張ってんな、と。

ただこのヨノイ大尉の行動原理って余白多くて謎っつーか、これが難解さの根源かもなぁ。ま、ボウイ&教授を中心とするBL感、これが一つのストロングポイントには違いなく、その意味では大成功してますが。かの有名なチークキスシーンは、その意味不明さも込みで、なんだかんだラストと並ぶ名シーンですし。

むしろ英語タイトル及び例のテーマ曲でもお馴染みのローレンス中佐を演じるトム・コンティさん。この人が日本語発話も含め、なんか終始いまいちな気がするんですけど。

でもって、ベストアクトを掻っ攫ってるのがハラ軍曹ことビートたけしであるのは、万人が認めるところでしょう。

つーことで、俳優・たけしとサントラコンポーザー・坂本龍一を輩出した作品というぼんやりパブリックイメージは、比較的正しいなと、改めて再認識したのであった。