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コップランドのmegurosのレビュー・感想・評価

コップランド(1997年製作の映画)
4.2
ジェームズ・マンゴールド初の大型長編作(大抜擢)。ミラマックス製作配給。マンハッタンに川を挟んで隣接したギャリソンという街が舞台。マンハッタンで働くNYPD37分署の警察官たちは、マンハッタンでのドラッグビジネスに目をつぶる代わりにマフィアとの取引でこの街に家を建て暮らしていた。通称コップランド。

※元々マンハッタンの警察官は郊外に住めないのだが(これは日本もルールが明文化していないものの同じらしく、コミュニティを守れないため勤務地近くに住むのが通例らしい)、管轄が州をまたぐ交通局だけは唯一許されていたそうで、地下鉄で働いたり交通局の予備警察となることによって、通勤型の警察官が生まれたとか。

物語はこの街でNYPDの警察官が銃を持ってない黒人を殺してしまい、隠蔽工作が始まるところから。ギャリソンの保安官フレディ(シルヴェスター・スタローン)は、警察官だらけの街で交通整理や猫の捜索等を普段はしているうだつの上がらない保安官ではあったが、ある日やってきた内務調査部のデニーロに「君の出番だ」と告げられる。腐敗した警察と正義をめぐるストーリー。

自分はかつて高校生の時だったか試写会で一度観ていて内容はもうすっかり忘れていた。今回改めて観て、BLMにつながる話がもうここにあったとはと驚いた。出演はレイ・リオッタ、フランク・ビンセント、ターミネーター2のT2000のロバート・パトリック、ハーヴェイ・カイテル等スコセッシ映画のような陣容。フレディが恋する女性のクソ男旦那としてピーター・バーグが役者として出演もしている。アクション俳優というイメージしかなかったスタローンがビール腹に逆肉体改造していたのも当時は新鮮だったのを覚えている。

ジェームズ・マンゴールドの手腕は確か。何気ない会話シーンも狙いのある撮影、カット割で飽きない作りに。フレディは片耳の聴力を失っているという設定は、コップランドにおいて彼らの声を聞かないという彼の立ち位置を示していた(だからこそ、ラストは両耳聞こえなくなる)
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