てるる

コップランドのてるるのレビュー・感想・評価

コップランド(1997年製作の映画)
3.5
権力は腐敗する。
警察が作り、住民のほとんどが警察関係者の街。
当然犯罪率も低く、一見平和に見えるその街。
しかしある事件をきっかけに、その裏に潜む腐敗が明らかになる。

アクションスターとして確固たる地位を築いていたにも関わらず、「スペシャリスト」「ジャッジ・ドレッド」という駄作に立て続けに出演したおかけで低迷したスタローン。

そんな彼が起死回生を狙ったのか、アクションではなくクライムドラマに出演。
しかも片耳が聞こえない冴えない警察官役。

この映画、共演者が凄い。
「ヒート」で当時ハマりにハマったロバート・デ・ニーロ。
「ノー・エスケイプ」「ダンボドロップ大作戦」「アンフォゲタブル」「コリーナ・コリーナ」など、その当時出演する作品が全部ツボだったレイ・リオッタ。
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」「スモーク」などでこれまたハマってたハーヴェイ・カイテル。
他にもT1000ことロバート・パトリック、マイケル・ラパポートなど、絶妙なキャスティング。

それなのに高校生の頃に初めて観た時は全然ハマらず。

今回大人になって改めて観直すと、何故ハマらなかったのか分かった気がした。

この映画、登場人物が全員クズな一面を持ち合わせてる。
主人公のスタローンでさえ、最初は長いものに巻かれろ主義で強い奴にへいこらし、片想いの人妻に未練タラタラ。

まだまだ世間知らずでウブだった高校生の頃の自分には、それがダメだったんだろうな。

でも歳を取って、世の中に聖人君子なんてそうそういないとわかった今観返してみて思う。
これは人間の持つ弱さや醜さの中にある、僅かな正義を描いた作品なんだなと。
そういう意味では凄くリアリティがある作品。

思えばこの監督の映画って、真っ当なヒーローや聖人君子みたいな人妻ってあまり出てこないな。

スタローン出演作の中では凄く地味。
盛り上がりに欠けるのは否めないけど、骨太なクライムドラマとしてはなかなか見応えはある。


以下、少しネタバレ。


主人公の親友。
最後、一人で敵地に乗り込んだスタローンを助けに行くシーンはカッコ良い。
レイ・リオッタが咥えタバコで銃を撃つシーンはこの映画随一の盛り上がりを見せる。
でもね、この人過失とはいえ自分の恋人焼き殺しちゃってるんですよね…最後なんかそのあたりうやむやにされてる気がする…
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