デパルマ

コップランドのデパルマのレビュー・感想・評価

コップランド(1997年製作の映画)
3.5
演技派筋肉俳優スタローンvs名優のみなさん。チンピラ役で頭角を表しボクサー役でアカデミー賞に輝いたイタリア系アメリカ人のスタローンとデ・ニーロ、そしてレイ・リオッタ、ハーヴェイ・カイテルがデ・ニーロと再共演という配役の熱さとアンサンブルの素晴らしさ。とりわけデ・ニーロを前に16キロも増量したスタローンの抑えた演技は必見。脚本を読んで自ら出演を希望したという。また、特殊な舞台設定もこの映画の魅力だ。実際に監督のジェームズ・マンゴールドが育った町をモデルにしたという“警官の町“コップランドは、丸腰の黒人青年の死を警察の正当防衛として偽造するほど腐敗している。そのことに憤る警官も黒人、路上駐車のカードをきられるのも黒人。BLM以降の観客には見え方も変わるディテールだ。しかしスタローン演じる警官は、将来に希望を見出せず、町の腐敗と闘うことが出来ない。思いを寄せる女性は友人に取られ、事故で片耳の聴力を失い、自信を喪失しているからだ。そんな深みのあるキャラクターをスタローンは見事に演じきっている。この度、はじめてソフト版と日本テレビ版の吹替を見比べた。翻訳はテレビ版の方が分かりやすいが、配役はソフト版に軍配が上がる。ハーヴェイ・カイテル役、日本テレビ版の石田太郎の演技は聞くからに悪そうで、ソフト版の大塚周夫には抑えた怖さがある。レイ・リオッタのFIX大塚芳忠は、日本テレビ版の鈴置洋孝より凶暴さやヒロイックさが数段増しだがあくまで通常運転。他の配役は日本テレビ版の方が豪華で見応えがある。いずれ原語版とも比較したい。欲を言えば、羽佐間道夫で聴きたかったな〜。
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