トルコのセミフ・カプランオール監督による、自身の半生を元にしたユスフを主人公とした三部作（『卵』『ミルク』『蜂蜜』）の1作目。
3作はそれぞれユスフの壮年期、青年期、少年期が描かれます。
母ゼーラ死去の連絡を受け、イスタンブールから久々に故郷ティレへ帰った詩人ユスフの物語。
葬儀と埋葬を終え翌日にはイスタンブールに戻るつもりだったユスフですが、母の面倒を見てくれていた叔父の孫娘アイラからの母がしたかった事を代わりにして欲しいという話や、旧友・元カノとの再会などもあり、滞在を伸ばすことに。
アイラは大学進学を目指している高校生。友人と思っている男から告白され困惑気味。
アイラが淹れてくれるチャイを飲みながらの静かな会話。（室内にあるいくつかの鉢が、父や叔父の輪廻転生の姿らしいのが印象的）
そして母のやりたかった事のためにアイラと二人で向かう車旅を終え、イスタンブールへ向かったユスフですが…
本作ではユスフと母の関係や、父について見えてきませんが2作目（青年期）、3作目（少年期）で明らかになるかと。
タイトルの「卵」は、少年が鶏小屋で卵を探す、小さな卵を手の平から落とし割るユスフの夢、アイラがユスフに1つ手渡す。という3つのシーンに出てきます。
長回しも多めで叙情的な風景や人物の捉え方、映像の質感も好みです。
アイラ役のサーデット・アクソイがジャケ写の通り魅力的。ユスフ（ネジャト・イスレーシュ）との静かに流れていく時間が沁みます。
イスタンブール国際映画祭: グランプリ、観客賞
ニュルンベルク映画祭: グランプリ
など受賞多数。
