Mikiyoshi1986

新仁義なき戦い 組長最後の日のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

3.7
7月3日は深作欣二監督のお誕生日。
生きていれば今日で87歳になります。

日本のヤクザ映画に"東映実録路線"という革命を起こした「仁義なき戦い」から3年後。
五部作の大ヒットを受けて東映はここぞとばかりに「仁義なき戦い」の新シリーズを打ち立てたものの、既に実録路線にも陰りが見え始めた76年の深作やくざ映画。

新仁義シリーズ4作目になるはずだった「北陸代理戦争」は食傷をきたした文太さんが出演を拒否したことで松方弘樹に白羽の矢が立ち、
結果これが深作・文太コンビの仁義シリーズ最終作となったわけです。

この頃から文太さんは「トラック野郎」の成功で"ヤクザ俳優"から脱皮してゆき、よりオーバーグラウンドな場へと俳優活動の幅を広げることに。
そして深作も「北陸代理戦争」を以てやくざ映画に終止符を打ち、以後日本を代表する映画監督として器用に新境地を開拓していくことになるのでした。

親方の敵討ちに燃える文太さんがどこまでも渋く、苦々しく巨悪を討つ構図の復讐劇。
「暴走パニック大激突」の余波を感じさせるカーアクションを盛り込みつつ、大きな組織暴力の圧力に屈することなく立ち向かうフィクション性はいかにも高田宏治らしい脚本。
サッポロ一番の優しいおじさん藤岡琢也も本作ではえげつない武闘派やくざを熱演して、素晴らしい爪痕を残してくれます。
兄妹の近親相姦も内包した「仁義なき戦い」の有終の美、深作暴力はゴミ焼却炉と共に。
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