びたみん

カルメンという名の女のびたみんのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
4.0
ジャン=リュック・ゴダール監督作品。

久しぶりにゴダール作品。
鑑賞済みは「勝手にしやがれ」「女は女である」「女と男のいる舗道」「軽蔑」「はなればなれに」「アルファビル」「気狂いピエロ」「中国女」「ウイークエンド」と色々観ているが、鑑賞作品は初期作品が大半で、中期後期晩年の作品は全く追えていないため、いまだにその全貌がみえてこない作家。
これだけ観ていても、どういう作家か一口に言えないし、好きか嫌いかと問われると、好きとも嫌いとも言えない、自分にとって厄介な映画作家。

予告編を観て雰囲気が良さそうと思い、そしてその尺の短さも知って、それでもちょっと恐れながら本作を鑑賞したが、とても面白かった。
正直、話の筋やセリフの意味などほとんどわからなかったが、トリッキーな映像詩として楽しめた。

かなりテンポも早く、トントン拍子で話が進むので、飽きずに観れた。初期作品は、勝手な個人的イメージとして、ホテルで男女が延々と哲学的な問答をするというシーンが多いように感じていて、それがかなりゴダールの苦手な部分だったが、本作はそういうシーンもあるにはあるものの、単純に一つ一つの映像の作りや美しさに魅了されたと共に、テンポも早いので飽きずに楽しく観れた。

トリッキーな編集や音響も素晴らしく、ゴダールの中でもわりとわかりやすい(?)、あるいは楽しみやすい作品だと感じた。

銃撃戦、ゴダール本人の存在感、時折挿入される海と演奏シーン、モップで拭かれる血、2人の裸体、トムウェイツの歌、などなど印象的な要素が多かった。

80年代ゴダール作品は初めて観たので、これほどまでに重層的で、エキセントリックな作風になっていたのか、と驚いた。
映画ファンとしてゴダールは避けては通れないし、一生取り組まなければならない宿題のような存在だと思うので、機会があれば他の作品も観ていきたい。

ゴダール好きの方、もしよろしければ、おすすめ作品、そしてその魅力をご教授いただければ幸いです。

ちなみに「ゴダールの決別」を途中まで観て、頭が痛くなったことがある。映画が自分の身体まで影響してきたのは「決別」とノーランの「テネット」だけです。
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