LalaーMukuーMerry

ディア・ハンターのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.4
アメリカが唯一負けた戦争、ベトナム戦争。その最後、サイゴン陥落から3年後に制作された作品。この戦争では反戦運動や無政府主義的な若者が増えてヒッピームーブメントなどを生んだのだけれど、この作品で描かれたのは、古き良きアメリカの伝統を疑ったことのなかったような素朴な若者たちが受けたトラウマ、そして彼らを待つ女たちや仲間たちの悲しみ。

戦争の狂気の象徴として、ロシアン・ルーレットのシーンが、これでもかと繰り返し登場する。あれをやれと脅されたら、たぶん私ならニックのように発狂してしまうだろう。本当に恐ろしい…

・壮行会と結婚式を兼ねた賑やかなパーティー
・戦場での友との出会い、捕虜となってうけた仕打ちと、そこからの脱出劇
・足を失った友、正気を失った友…
・戦争で変わってしまった仲間との関係、それぞれの人生

ラスト、失った友を偲ぶ仲間だけの静かなパーティーは、オープニングの空騒ぎと好対照をなす。ギターのメロディが心に響く。とても静かだけど、反戦の思いが明確に伝わってくる良作。

タイトルは、男たちの楽しみでもあった故郷の美しいアパラチア山脈での鹿狩りからくる。戦争がなければ、彼らは疑うことなくこれを楽しみ続けたのだろう。人を殺すということと、鹿を撃つということに、どんな違いがあるのだろう? そんな問いかけがあるのかもしれない。