くぅー

ディア・ハンターのくぅーのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.8
何度見ても打ちひしがれつつ見入ってしまう名作。
三部構成の本作は、第一部が長く感じるが、ここでダレると魅力が半減してしまうと、あえて言います。
印象に残るのは、やはり鹿狩りとロシアン・ルーレット。
タイトルにもなって鹿狩りは、第一部と第三部に出て来るのだが、戦争前後で全く違った意味合いになっていて、実に興味深い。
そして、ロシアン・ルーレットは第二部と第三部・・・どちらも正に狂気を描いているのだが、全く別のテンションが最大の見所になっている。
つまりは、この二つが絶妙に絡み合って・・・"ワン・ショット"が共通項であり、そこに実に重いドラマが込められ、ベトナム戦争自体が鹿狩りとロシアン・ルーレットの側面を持つので、何とも言えない深みを加えてるかと。
さらには、随所に流れるジョン・ウィリアムズのギター演奏♪カヴァティーナ・・・見事に優しく作品を包む。
そう、第一部の結婚式描写で分かる様に、マイノリティなロシア系移民が主役なのであり、よって、ロシアンルーレットも生きて来るし・・・ある映像やラストの歌ぐらいで、ベトナム戦争正当化論には繋げて欲しくない。

キャストでは、やはりデ・ニーロ・・・この大作の屋台骨を背負う重厚な演技には感服。
クリストファー・ウォーケンもデ・ニーロに負けない熱演で、クライマックスのあの涙目には完全にやられた。
ジョン・サベージにメリル・ストリープらの好助演は言わずもがなだが・・・ある意味、"ワン・ショット"に賭けた様なジョン・カザールの最期の姿にはしみじみ。
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