ごろちん

ディア・ハンターのごろちんのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
5.0
劇場公開を教えて頂いたsomalさんに感謝!ありがとうございました。

自分にとって『ディア・ハンター』は特別。戦争映画の中で1番好きな作品です。どこが好きかというと、出征前と後で命に対する意識の変化が繊細に描かれているところです。

鹿狩りのシーンはベトナム戦争で何の罪もない原住民を殺戮する行為と重なります。鹿にしろ人間にしろ、銃口が向けられた瞬間から、生死の運命は相手に委ねられます。支配する者とされる者、強者と弱者。とりわけ弱者は命の儚さ、脆さを思い知らされることになる。

弱者を経験したマイケルは命の儚さや脆さからやがてその尊さに気づく。この映画の鹿狩りのシーンは、全ての戦争映画が伝えたいメッセージを象徴しているのではないでしょうか。

カチッという引き金を引いた音。あの音を聞けば誰もが弱者になり、命の儚さ、尊さを感じる。生きていることの喜びと、それを奪う戦争とのコントラストを色濃く描いた名作です。
ごろちん

ごろちん