竜平

ノッティングヒルの恋人の竜平のレビュー・感想・評価

ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)
4.2
ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント主演。ロンドン、ノッティングヒルにて平凡に暮らす男の働く書店にある日、世界的に人気のハリウッド女優が現れる、というところから巻き起こっていく恋模様を描く。ロマンティックラブコメディ。

とまぁこの非現実的な設定ありきで、「こんな夢みたいなことあるわけねーだろ」とか絶対言わない約束で見進めてほしいところ。なんやかんやで初鑑賞。まず主演の二人がそれぞれ違う境遇の二人を好演中の好演。一方はハリウッドの大スター、ジュリア・ロバーツがバツグンの魅力と等身大の姿で架空のその人物を演じてたり。もう一方は本当どこにでもいそうな普通の男、ここも有名人に出会した時の反応とか、その時に考えてしまうであろうこととかちょっとしたテンパり様とか、すげーリアルな気がするけどどうだろう。ヒュー・グラントってやり手な男をよく演じてるイメージがあったけど、一般人演技も非常に良き。デフォでちょい困り顔なのも、なんか良き。そんなこんなでひょんなことから出会い、なんだか急に始まる恋模様。意外にもトントン拍子で進む、かと思いきやそこから徐々に見えてくる大スターの悩みとか、華々しく見える生活とは裏腹に抱えてるもの、普段見えない、というか見せない部分。人間味というのが中盤で見えてきて、このストーリーがよりリアルなものになっていく。やがて出てくるすれ違いにも共感できる部分が多々あったり。そうだよね、傷つくのは恐いし、いろんなことに対しての自信も上手くいかなければいかないほどになくなっていってしまうよね。この恋の行方や、いかに。

いやしかしジュリア・ロバーツに殺される、これは問答無用で惚れる。もちろん本人の私生活とかは知らないわけだけど振る舞いとか佇まいとかなんかすげーリアリティーがあるんだよなと。役の「アナ・スコット」というより、もう完全にジュリア・ロバーツとして見てしまった。SNSとか出回ってない時代だからこそ、女優の私生活なんかは今よりももっと謎に満ちてただろうなーとか、たぶん今だったら描かれ方とかだいぶ変わってくるんだろうなーとか、関係ないことも勝手に想像した次第。終盤の主人公二人の会話、そこにある葛藤、そんでラストの決断まで全編通してまんまとキュンとした。エルヴィス・コステロの『She』のパワーよ、ってこれカバー曲なんだね知らなかった。たまに無性に見たくなるぜ、ラブコメ。
竜平

竜平