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狂った果実のtjZeroのレビュー・感想・評価

狂った果実(1956年製作の映画)
3.6
”太陽族”と呼ばれた、昭和30年代の享楽的な若者たちの生態を描いた青春映画。

兄(石原裕次郎)と弟(津川雅彦)が同じ女を好きになる。
しかも、彼女(北原三枝)は他の男の妻。

…というストーリーなので、もっとドロドロ&グチャグチャしてもおかしくないのだが、カラッと軽い。家族とか貧困といった重たい要素を排除した、陽性の作品。

① 高度経済成長期に差し掛かって裕福な世代が現れ、”色恋沙汰”にかまける余裕ができた。

② 舞台となる鎌倉、逗子、葉山、大磯…といった湘南沿岸がまだ海がきれいで憧れのリゾート地として成立していた最後の時代。

③ 石原裕次郎、という日本人離れした若手スターの登場。

…という、3つの要素が奇跡的に重なって生まれたキラキラした映画。

その希少性が、青春期の切なさとか二度と戻らない輝きと相まって、忘れがたき印象を残す出来となっている。
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