クシーくん

三銃士のクシーくんのレビュー・感想・評価

三銃士(1948年製作の映画)
3.4
シネマトゥデイの金曜レイトショーで視聴。監督は「アニーよ銃を取れ」や「ショウ・ボート」「バイ・バイ・バーディ」などのミュージカル作品で有名なジョージ・シドニー。
そのシドニー監督にジーン・ケリー主演となればミュージカルになりそうなものだが、今回は歌もダンスもない正統派三銃士のお話。

プロットは原作に忠実な、というよりも小説をそのまま起こした感があって正直ダレる。連載小説という形式なら切れ場切れ場で本来長所となるべき部分を、映画ではカットこそあるが一本で通してしまうので正直辛い。これでも相当内容を省いているのだろうが、粗は目立つ。本作に限らず、古典長編の映像化にありがちな問題点かもしれない。またダルタニャンがミレディーに心を奪われるシーンも描写不足からか余りに軽薄というか不自然に思えた。演出の問題もあるかも。

殺陣のクオリティがヤバイ。ジーン・ケリーの身体能力の高さが遺憾なく発揮され縦横無尽に飛び回るのを見ているだけで楽しい。ダンスはないと言ったが足取り軽やかな剣戟とダンスには同根の愉しみがある。
ただジーン・ケリーにロン毛は似合わない。

大女優ラナ・ターナーが妖艶なミレディーを演じる、とものの紹介にはあるがラナ・ターナーでは役が足らないように見えた。ジューン・アリソンの方が可愛らしいし段違いに良い。
三銃士と言っても目立っているのはヴァン・へフリン演じるアトスだけで、後は置物感が強い。へフリンのアトスは豪放磊落な中に哀愁を感じる好演は流石。全体的な内容からすると暗くなりがちな話をキーナン・ウィン演じる従者ブランシェのコメディリリーフな立ち回りに救われている部分も多い。

余談だが、名作「雨に唄えば」で劇中試写会が行われた「決闘の騎士」の映像は本作の流用である。
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