健多郎

真田風雲録の健多郎のレビュー・感想・評価

真田風雲録(1963年製作の映画)
4.0
真田十勇士を題材にした戦国ミュージカルなはなし

時代劇の皮をかぶったミュージカル、でもスタッフや小道具大道具の豊富さからかしっかりと時代劇にはなっている凄い映画
脚本など基本的に時代考証を全くしていないのはもちろん、登場人物も変なのがたくさんおる
隕石の放射能を浴びてエスパーとなった猿飛佐助!
この映画では女性の霧隠才蔵!
流浪のギター弾き由利鎌之介!
「カッコよく死にたいな」が口癖でダサい風体の真田幸村!
マリー・アントワネットみたいなキャラとドレスの千姫!
もちろんおかしいのは十勇士だけではない、徳川方にもおかしいのが…
その名も「服部半蔵 と その忍者隊」
とてもリズム感の良い黒装束のダンサー達で、息の合った軽快なステップを踏みながら十勇士に襲いかかってくるぞ!
見た目だけは忍者っぽい!

ミュージカルシーンでは明らかに日本語ではない単語が飛び交い、和太鼓や和笛を使っているのにBGMはドラムスやトランペット!
とても50年前とは思えないノリの良さとアバンギャルドな歌詞で大笑いできる
野外ミュージカルの為にナイター設備の整った大坂城や淀君率いる聖歌隊など、中盤以降10分に1回くらいのペースでやってくる楽しくて頭の悪いシーンも最高
笑いすぎてお腹痛くなった時代劇は初めてかもしれん

時代考証をあえて無視した時代劇は多々ありますが、ここまで破天荒でありながらバランスが取れたのはそうそうない
メインシナリオとテーマはあくまで反体制を描いたシリアスであり、演出の妙によりコメディ調ミュージカルに仕上がった新感覚時代劇!
50年前の作品なのに今観ても新感覚!
型破り過ぎる時代劇を楽しみたい方にオススメ!
ちなみに公開当時、大阪の劇場では大不評で6日で上映打ち切りになったらしいです
まさに早すぎた名作…
健多郎

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