スギノイチ

ずべ公番長 東京流れ者のスギノイチのレビュー・感想・評価

ずべ公番長 東京流れ者(1970年製作の映画)
3.5
『東京流れ者』を冠した映画に渡哲也の弟の渡瀬恒彦を出すというのは中々洒落っ気が効いている。
まあ、劇中で扱っているのは藤圭子版だし、何より東映の事なので、単なる偶然の可能性が高いんだけど。
それでも、赤コートのずべ公達が横一列で新宿を闊歩する様は圧巻。
掛け値なしにかっこいい。

そして、この手の映画における渡瀬恒彦はやっぱり良い。
同時期の『三匹の牝蜂』や『関東テキヤ一家』然り、「姦し娘の中に一人混じる熱血漢」というポジがハマるのだ。
本作のテキヤ役は『鉄砲玉の美学』よりも軽薄な役どころだが、いつものピュアな男臭さを発揮している。
マザコンぽさも獣性に昇華するほどの熱気。リカがベタ惚れになるのも当然である。
クライマックスはずべ公達と共に敵アジトに殴り込み、任侠ルックで大あばれ。
渡瀬恒彦は元々「第二の高倉健」という文句で売り出したらしいが、デビュー翌年には既に狂犬と化していた。
本作は、もし「第二の高倉健」のままの路線で続けていたら?というif的な画を楽しむ事が出来る1作だ。
スギノイチ

スギノイチ