桃子

ゴッド・アンド・モンスターの桃子のレビュー・感想・評価

4.0
「ホラー映画監督の苦悩」

ジェームズ・ホエール監督の最晩年を描いている。監督は自宅のプールで溺死しているのを発見された。自殺と言われている。彼がどうして自ら死ぬことを選んだのか、その理由を描いているわけだが、事実に基づいているとしても想像の部分はけっこうあるだろう。原作はクリストファー・ブラムが書いた「フランケンシュタインの父」という小説である。これを元に脚本を書き、監督したのはビル・コンドン。監督はアカデミー賞の脚色賞を受賞し、家政婦のハンナを演じたリン・レッドグレイブはゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞している(アカデミー賞はノミネートのみ)。
ホエール監督を演じているのは、イアン・マッケランである。1988年にラジオで自分がゲイであることをカミングアウトしている。当時としては非常に珍しいし勇気のあることだったと思う。マッケランと言えば、LOTRのガンダルフ!魔法使いのキャラは最高に似合っていた。映画監督の役よりずっといい(笑)
とはいえ、さすが名優である。映画監督の役もそつなくこなしているし、説得力がある。ラスト近く、精神状態が不安定になっていく場面は、実に巧みだ。
ホエール監督が手がけたホラー映画をすでに見ているので、さらに臨場感を味わえた。特に撮影シーンは興味津々で見入ってしまった。この映画を見るなら、「フランケンシュタイン」や「フランケンシュタインの花嫁」は是非とも見ておくことをおすすめする。
桃子

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